広島市内にありながら、広大な敷地に桜やつつじ、紅葉などが四季を通じて咲き誇る池泉回遊式庭園「半べえ」。著名な庭園家・重森三玲が手がけた「聚花山(しゅうかざん)の庭」をはじめ美しい日本庭園が広がり、婚礼や宴席などハレの日には懐石料理も楽しまれるなど、昭和11年の開業から時代とともに姿を変えながらも、長年、地元の方々に親しまれています。

コンセプト
ポレスター東本浦レジデンスは、「半べえ」の敷地内にあった温浴施設の跡地に建つ住・商一体開発のマンションです。
名園が持つ地の歴史や記憶の継承、および周辺環境との調和を軸に、またスーパーマーケット誘致をはじめとした人々の賑わい創出も企図することで、
この地と人々が未来へとつながるレジデンスを目指しました。
長きにわたり名庭が佇むこの地の歴史に敬意を表し、現代的なアーキテクチャの中にも和の趣を感じさせる佇まいを目指しました。
「半べえ」ならではの緑景と、その隣に約1,600年前頃より佇む邇保姫(にほひめ)神社。住宅街では希少な環境に建つレジデンスのあるべき姿を考えました。
隣接して誕生するスーパーマーケットを媒介とした既存の周辺住民とのつながりのほか、入居者同士の交流創出にも貢献しています。
ポレスター東本浦レジデンスは「半べえ」の北東に隣接するロケーションに誕生。「半べえ」を望むかたちでバルコニーを配することで、春の桜やつつじ、秋の紅葉、日本式庭園ならではの四季折々の美しい自然が、リビングからの借景として日常的に愉しめるよう工夫しました。
周囲の街並みに馴染みながらも確かな存在感を放つ15階建てのフォルム。落ち着いたベージュカラーを基調に、シックなディープグレーのガラス手すりを合わせることで、周囲の閑静な住環境や「半べえ」の緑景と調和する和モダンの外観デザインとしました。
庇の黒アルミと木調目透かし天井のデザインの組み合わせを上段へと連続させることで、共用部と専有部の一体感を創出。また、駐車場背面の通路へと軒を連ねることで伸びやかな水平性を創出しました。
軒の出幅5.5mの大庇を配したエントランスアプローチ。奥行き感に加え、通りに面してワイドな広がりを意識することで、邸宅らしい重厚な佇まいを醸し出します。車寄せも設えることで雨の日の乗り降りなど日々のホスピタリティにも配慮しました。夜には間接照明が灯り、本物件の存在感が穏やかに際立つとともに周囲の街並みに温もりを与えています。
ラウンジコーナーには「半べえ」のインテリアで使われていた市松模様の障子をモチーフとした飾り棚を設置。日常的に目にしやすいラウンジコーナーに設けることで、この地の歴史や記憶を日常の中で感じてもらえるよう企図しました。
エレベーターホールへ続くエントランスホールの壁面に地窓を設け、その向こうには、かつての温浴施設から継承した庭石を配した中庭が広がります。奥へと伸びやかに続く壁面意匠とともに、空間の広がりを演出しました。
本物件の北東側にスーパーマーケットを一体開発。マンションとスーパーマーケットをつなぐ緑豊かな歩道空間を周辺住民に開放するなど、入居者と既存住民との交流の後押しを企図しました。
マンション居住者はスーパーマーケット隣接の利便を日常的に享受できる一方、必要以上の喧騒感を感じないように配慮しました。また、デザイン性においては一体感を持たせつつ、マンション棟として邸宅らしい重厚な佇まいを確立できるようデザインしました。
料理教室やワークショップなどのイベントを催したり、仕事や読書に利用するなど様々な使い方ができる「マルチオーナーズラウンジ」。少人数の利用、入居するご家族同士のホームパーティなど、多彩なシーンでの活用を想定しています。