京都市の北部に位置する宝ヶ池は、国立京都国際会館の設置に伴い、 京都市による洛北第一地区土地区画整理事業で開発された整然とした街並みの高級住宅地。比叡山のふもとに広がるエリアのひとつで、周辺には瑠璃光院や岩倉実相院、 平安京の瓦窯跡など名所旧跡が多く、歴史的風土に彩られた環境となります。
宝ヶ池の地で継承されてきた京都ならではの歴史的な景観や文化、そして豊潤な自然から発想したデザイン。
和のテイストをベースとして、モダンでありながら古都の風情を感じさせる佇まいを追求しました。
歴史ある風土と調和するよう勾配屋根や縦格子を用いて、京都の風情を印象づける外観デザインとしました。また、豊かな自然と呼応するよう、大きな緑化パネルの採用など潤いを意識した外観としています。
道を行く人々のアイレベルでも古都の趣を楽しむことができ、日本の美意識を街へと広げる演出として瓦葺きの塀や格子戸を外構に採用。宝ヶ池の街並みに美しく馴染むレジデンスのデザインを目指しました。
エントランスホールやラウンジなどの共用スペースには、連続する縦格子など和の感性により空間をデザイン。障子を思わせる光壁のやわらかな灯りや、照度を落としたライティングなどでさらに風合いを深めました。
京都の街並みにある町屋を意識して勾配屋根や縦格子を採用。外壁には落ち着いた色調のブラウン系タイルを用いました。周辺が閑静な第一種低層住居専用地域であることを考慮し、派手な存在感を求めるのではなく、伝統的な和の趣を大切にした計画となるようトータルデザインしました。また、外壁をセットバックし、圧迫感が抑制された構えを実現しています。
美しい景観の中で目立つのではなく調和を第一に考え、夜間照明についても明るさを抑えることで、風景の一部として溶け込むイメージを重視しました。ポイント的に照明を配置し、灯りの点景としてデザインしています。
機械式駐車場を2つの大きな緑化パネルで修景し、前面道路の街路樹や植え込み、周辺の自然豊かな環境との調和を図りました。グリーンの壁面を街路側に立ち上げることで、自然の潤いや優しさを近隣の方にも感じてもらえる外観を目指しました。
南面のバルコニー手すりにガラスを用い、昔日と現代が共存する京都のモダンな側面を表現しました。
町家を意識した瓦葺きの門と格子戸をアプローチの入口に採用。塀と縦格子の上部に瓦葺き屋根を連続させることで、和の風情を街路に広げました。植栽帯には石とトクサを配して日本的な感性と潤いを加えたほか、京都の花灯路から着想を得た足元灯で趣を深めています。
駐車場の出入口は、ゆったりとした間口を与えた堂々たる瓦葺きの門構え。大きな京町家を思わせるデザインにしました。
京都市内で散見される路地から発想した、奥行きのあるエントランスアプローチ。宝ヶ池公園の里山を巡る散歩道をイメージした植栽計画を採用し、自然を感じながらプライベート空間へと導かれるデザインに。アッパーライト・ダウンライトのやわらかな灯りで夜間の風情を高めます。
秋に色づくモミジをはじめ、京都らしい季節の移ろいが楽しめる植栽でエントランスへとつながるアプローチの左右を彩りました。
エントランスホールの壁面は、外観のアクセントとして用いた縦格子を連続させたデザイン。建物の外側と内側に統一感を与え、空間全体を古都の風情で包むような演出としました。あえて、ライティングの照度を抑え、味わい深い陰影で日本的な美を印象づける空間としています。
障子を通してやわらかな陽光を採り入れる京町家の室内をイメージした光壁をラウンジコーナーに採用しました。